「異世界はスマートフォンとともに」について、いろいろ考察してみる




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2020年04月25日~:
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あまりいい評判、というか悪い評判しか聞こえてこないアニメ作品。この作品の主人公はネット上で「スマホ太郎」などとほぼ蔑称的な意味合いで呼ばれているようです。しかしまぁ面白い名前ですね。スマホ太郎とは。山田太郎のような絶妙な安っぽさと、どこか小ばかにしてるようなニュアンスがひしひしと伝わってきますね。主人公だけでなく、作品自体を端的に表現してしまっている言葉なのかもしれません。

SNSのニュースで酷評されているらしいことを知って、一体どんな作品なのか調べてみると「はぁ…なるほど」と納得することがあったのでそれについて書いてみます。

共感しづらい作風

「面白い物語」に必要な大きなポイントの一つは「共感」で、共感できるポイントがどれだけあるか、どの程度できるのか、だと思います。

大抵の物語は、あるキャラクターを通じて、視聴者がそのキャラクターに感情移入することで、主人公自身や身の回りで起こる出来事を疑似体験しその面白さを感じるものですが、感情移入するには、そのキャラクターに共感する何かを視聴者が持っている必要があります。主人公の行動に伴う動機や理由が視聴者にとっても納得のいくものである必要があり、

例えば主人公が敵に対して激しい怒りをあらわにしているとしたら、仲間をこ○されたとか、敵との間になんらかの強い因縁があったりとか、それなりの理由が必要です。さらに昨今ではそういう昔からありふれた設定では読み手が満足しないので、マンネリにならないようにその作品らしさを出すために作家の方たちは苦労しているんだとか。

大抵その視点が置かれる機会が最も多いのは主人公で、それはこの作品もその例にもれませんが、この作品の主人公にはそういった要素がほとんどないんです。

主人公と視聴者の間にはこの共感する要素において、埋めようのない大きくて深ーい溝があるんですね。

最初から強くてニューゲームみたいな主人公

この物語の開始時点のある日、主人公は神様の手違いにより、現実世界で死亡、それから”異世界”に飛ばされる(転生)わけですが、その後に主人公の鍛錬だとか修行だとかそういったイベントは一切なく、転生前に神様に能力を底上げされたため、のっけからあらゆる能力がその世界で最強レベルになっており、全ての属性魔法をなんの訓練もなく使用できたり、涼しい顔でなんでもこなすことのできる超万能人として描かれます。レオナルドダヴィンチもびっくり。

チート級の能力を最初から持ち合わせていること事態はそれほど問題ではなく、問題は主人公がほとんど苦悩することもないままに、表情一つゆがめることなくまるで最初から事の解決方法からその終わりの全てに至るまでわかっているかのようにその能力をフル活用していく点。

そして予定調和のごとく実に都合よく丸く収め、世界全てが主人公のために周っているかのような、天動説も地動説も目じゃないくらいの都合のよさで展開していくことが、そこから沸き立つ強烈なわざとらしさとなり、視聴者はそれを嫌でも感じてしまうのです。オリジナル作品のはずですが、メアリースーのようなことをやっています。

大抵の人は現実世界で何かしらの苦労をしているものですし、年齢が高くなればなるほどその傾向が強くなります。にもかかわらず主人公がそんな有様なので共感したくてもしようがないんですね。

設定がペラペラ

いわゆるロア要素というものがペラペラで、世界設定やキャラクターの生い立ちなどその全てが非常にうすーく仕上がっています。唐突に重要な設定がその場で降っては湧いてさらっと説明されて終わり、なんてことがよくあります。

冒頭の神様が主人公を異世界に転生させた時神様はその理由を、「同じ世界に転生することはできないから」と説明してくれますが、それがなぜなのかという理由は、ただ「ルールだから」と役所のおじさんみたく説明してくれません。主人公もその辺に全く突っ込まないのでモヤモヤします。そんな感じの薄いやり取りが作品を通してずっと続きます。

スマホという要素と前述の犬も食わない超都合のいい展開を除けば基本はベタベタで、どこかで見たような展開が目に付きます。作品を構成している全てがスライスしたハム一枚よりも薄くまとまっており、そういったもので構築されたものがこの作品という感じです。

スマホの存在感が薄い

タイトルにでかでかとスマートフォンの文字が入っているし、やや意味深な感じなのでスマートフォンがキーの物語と思いきや、出番は圧倒的に少ない上に対した役割をもっておらず、せいぜい地図や策敵に使っている程度で便利ツールの域を出ていません。なくてもいいレベルの存在感なので、視聴者はなぜタイトルにスマートフォンが入っているのか、そもそもスマートフォンは必要だったのかについて小首をかしげることになります。まるで将棋だな。

視聴者の主人公への嫉妬

何もかもが主人公にとって都合よくできあがっているので、そんな主人公に対する嫉妬心もあるようです。女性にもモテモテで、出会う女性全てにフラグをたりまくりです。

ただこの嫉妬心は、純粋な主人公への嫉妬心というよりは、あまりにもできすぎた世界と現実世界のギャップからくるちょっとねじれた嫉妬心というか、本来作品の世界観や設定にぶつけられるべき「そんなわけあるか」な怨念がまじって主人公のパッシングとなって形を変えているような感じです。

終始しれっとした主人公の態度が癇に障るということもあるみたいで、そういった要素も主人公のパッシングに拍車をかけているみたいです。でなきゃスマホ太郎なんてこんな安っぽい不名誉なあだ名付きませんもんね。

視聴者の制作への嫌悪感、羞恥心

ファンタジーであることを差し引いてもなお現実性を欠きすぎている内容で、犬も食わないような妄想を大真面目に作品化して世に放ってしまうとはなんということだ、と強い嫌悪感を感じているというのもあるようです。

逆に、自分だったらこんな妄想すること自体耐えられない、というような作家と自分を重ねて羞恥心すら感じてしまっている人もいるようです。物語のキャラクターではなく、作家に対してこのような形で共感を得てしまっているのはなんとも皮肉的ですが、ひょっとすると本当の主人公は作家自身でそういうロールプレイだった、なんてこともあるんでしょうか。

と、この作品のおもしろくないところについて書いていきましたが、では逆にこの作品はどう見れば純粋に楽しめるのか?というのが気になるところ。

ネット上では酷評されていますが(私も含めて)、その一方でこの作品を素直に面白いと思っている方も一定数いるようなんですよね。存在する以上、楽しむためのメソッドは確実にあるということです。ではそれは一体なんなのでしょうか?それについて調べてみました。

現実逃避するため

中々悲しい理由ですが、現実にある様々なつらい障害も、この作品を見ることで一時的に忘れることができる、ということのようです。夢を見ることができるので、それを糧に日々を生きていく原動力にもなっているんだとか。

自分の願望を仮想的に満たしてくれる

世の中がこうだったらいいのに、という願望を持つ人はたくさんいらっしゃるかと思いますが、この作品のジャンルである「異世界モノ」というものそのものが、そんな読み手のこうだったらいいのにという理想、妄想をかなえれくれるものである、ということのようです。そういった部分に共感を示し、楽しんでいるようなんですね。

つまりまとめると、この作品を楽しめるかどうかのポイントは、共感するポイントの違いにあるということのようです。

血沸き肉踊る熱い展開や、現実と近い設定の世界設定の元に悪戦苦闘しながらも目的に向かっていく主人公に共感する人もいれば、特に何の苦労もなく全てが自分の都合のいいように動いてくれる世界に夢をみて共感する人もいらっしゃる、ということのようですね。

設定が如何に現実離れしていようとそこは関係なし。ポイントはどれだけ現実を忘れられるか、夢の中に浸れるか、ということなのだと思います。

これはもう、考え方の違いというか、価値観の違いなので、お互い相手の領域に踏み込まないのが一番だと思われます。お互いにそれなりの理論があるでしょうし、譲ることもないでしょうから、そういう世界もあるんだな程度に不可侵領域として認識しておいた方が賢明な判断でしょう。ただそういった異なるお互いの世界観を覗きあうのは多分すごく面白いと思うので、そういった人と会話して情報交換してみるのはいいのかもしれません。



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Name : Elepan

元うつ病患者 (闘病歴10年)

約10年間のうつ病の体験と、独学で立ち直ったことや、実施した治療法について書いています。一人でも誰かの役に立つ情報になりますように… その他にも遊んだゲームの情報、世の中のおかしいと思うことなどについて考えたことを色々まとめています。

 

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