なぜ変わることは難しいのか?





うつ病の人間が根本的に立ち直るには”変わる”しかない。しかし、世の中には変わりたくないと思う人の方が大勢いると思われる。

他者を否定する目的はなんだろうか?

相手の事を思いやってのことかもしれないし、もっと全体を見てその相手を諭すことで、多くの人のためになることを想定して、指摘しているのかもしれない。あるいは単純な利害目的で、例えば上司や社長からの叱責なら、会社を経営していく中でその人の考え方が問題と思われる際にそれを解消するためということもあるだろう。

しかしその中に、自分の正しさを主張するためという目的で他者を否定するというものもある。これは、相手の思想や考えを間違いであると指摘し、それによって相対的に現在の自分が正しい存在であることを証明しようとする心の動きであると思われる。

別の見方をすれば、自分と違う価値観を目の前にした時、それに対して「変わりたくない」「変わる必要はない」「自分はこのままでいい」ということを、自分に言い聞かしているともとれる。

この思考は何かと他者に否定的な人にありがちだと思う。自分にとって否定的な人にも。

うつ病の人はこの思考プロセスに近いものを持っているのかもしれない。アドラー心理学の目的論に沿って考えれば、自分を変えたくないから、変えるのが怖いから、その免罪符としてうつ病という症状を作り出していると。

うつ病だったころの自分を思い返すと、まさにこの思考だった。常に外部に原因を求めていたし、社会が悪い、上司が自分をいじめたせいだ、小学校の頃に自分をいじめたやつが悪い、親が毒親だった、など、何かと原因を外に求め、作り出していった。

それは全て確かに事実だったが、それをうつ病の原因とするのは謝りで、やはり自分が変わらないための免罪符として過去の体験を持ち出しているにすぎなかった。人は原因を起因として行動しているわけではなく、目的があって行動しているのである。

なぜ、自分の正しさの主張のために相手を否定をしたがるのか。それは端的に言って「変わりたくない」からだ。

変わることは怖くて、苦痛を伴う

変わるということは一旦今現在の自分を否定した上で、未知の自分になるということだ。だから、実際に今の自分から変わろうとしている最中は、誰も足を踏み入れたことのない領域に足を突っ込んでいく感覚を伴いながら進んでいくことになる。

それは怖いだろう。誰かが良い、正しいといってくれる道だけを歩いてきた人にとっては猶更。それは、今までは誰かが自分の道を照らして、導いてくれたから怖くなかったのだ。

そんな自分を変えようと、実際にそのために行動してみると、今までその道を照らしていた光たちが突如姿を消す。

その時の心理的風景は漆黒のように真っ暗な森の中を、明かりもつけずに一人で歩いているかのようなものだろう。孤独感がつきまとい、自分を助けられる人はどこにもいない。一体どのように歩けばいいのか、どこを歩けばいいのか。どこに向かって歩けばいいのか。それを担保するものも何もないから、自分で必死に考えざるをえなくなる。そして幾度となく壁にぶつかる。

しかし思考錯誤しながら少しずつ目標の自分に近づくにつれ、それがごく”普通”のことであると受け入れられるようになってくるとその景色にも少しづつ変化が現れる。

人は元来より孤独で、誰かの意志や都合によって自分の行く道を決定するのではなく、自らの意志で自分の歩く場所を決定するものである。そう考えられるようになってくると、少しづつその目が馴れてくる。やがて自らの意志で自分の問題解決に取り組むようになっていく。

歩いていく方向も歩き方も全て自分で決める。あたりが暗ければ自ら明かりをつけてその道を照らす。自らの意志、純粋な目的で行動することによって自立した思考を獲得していく。やがてはその景色自体も変わっていくだろう。私が今みている景色は日が差している。

それが「変わる」ということだと思う。「変わる」こと、自分の人生を歩むということは、孤独への道であり、自由への道だ。それができれば、自分の人生は自分のものになる。

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元うつ病患者 (闘病歴10年)

約10年間のうつ病の体験と、独学で立ち直ったことや、実施した治療法について書いています。一人でも誰かの役に立つ情報になりますように… その他にも遊んだゲームの情報、世の中のおかしいと思うことなどについて考えたことを色々まとめています。

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