感受性は後天的に獲得したものじゃないか?「HSP」について考察してみる





この世に存在する全てのものにはなんらかの”理”があるはず

人間の脳は謂わばものすごく複雑な処理を行えるコンピューターのようなものだと思うのだ。実際、昨今では人口知能技術が発達して、ある分野では人間を超え始めている。

感受性は個人の”資質”によるものなのか。

ここでいう資質とはもって生まれたもの、つまり先天的特徴であることを表している。人間の感受性は生まれたころから決まっていて、個人によってその感度が異なる。だからそれ自体はどうしようもなく変えようがない、というもの。

…いや?本当にそうだろうか?

私はうつ病の治療の過程でアドラー心理学を学んでいく中、この感受性の正体について疑問を持ち始めた。私は以前、自らを感受性の高い人間であると認識していた。少し前に話題になっていた「HSP」のチェックをしてみたが、ほぼ全てに該当する結果になった。

しかし、どこか眉唾というか、根拠に足らないような気もしていた。脳科学的に証明されているわけではないようだったし、ブラックボックス的な検証のみでそう結論づけているように見えたからだ。人によって解釈も違うわけで、人の頭の中身はホワイトボックス的なテストでもしない限り解明は難しいと思う。あるいは、HSPは本人の資質の話ではなくて、悪魔で現在の本人の状態をそう呼んでいるだけなのかもしれない

であるならば、私は別の視点からそれについて考察したいと思う。アドラー心理学の目的論では、人のあらゆる行動には全て目的があって、例えば、怒る、泣くなど、一見原始的で本能に近い自然な人間の行動さえも、全て目的があってそれを行っていると説明している。

泣かされた、怒らせられたという、受け身的な表現も厳密には誤りで、どんな理由があるにせよ、それを受けて泣くこと、怒ること、を実際に実行しようと決定しているのは紛れもなく本人であり、それによってなんらかの目的を達成しようとしているだけであると。

例を用いて考えてみる。

:::ある部下をもつ上司がいて、その部下の態度がその上司は日ごろから気に入らなかった。ある日、その上司がその部下の態度に耐えきれなくなり、つい怒鳴りちらしてしまった。:::

このケースを目的論に当てはめると、上司は部下を怒鳴ることで威圧し、自身に服従させるという目的のために怒鳴った。という感じになる。あるいは部下に対して溜まったストレス発散のために、部下を怒鳴り萎縮させることで、その欲求を満たす、などだ。いくら部下が上司に対して失礼な態度をとったからといって、それを受けて最終的に怒鳴ることを決定したのは上司であり、決して本能のような条件反射的などうしようもない不可抗力が働いたなどの理由ではない。

この理論が仮に、”感受性”にも適応するとしたら、一体どんなケースが考えられるだろうか。

思考プロセスは後天的に開発、最適化できる

感受性の高さはこの思考プロセスの個人差にあると思う。例えば「速読」という、本を早く読むスキルがある。誰でも訓練によってそのスキルを取得、向上することが可能で、例えば情報収集という目的のもとに、本を読む上で無駄なプロセスを省き、文字だけで情報を理解するための思考を開発して、最適化していく訓練を繰り返すことで可能であるということらしい。

この例と同じように、感受性は後天的に獲得したもののではないだろうか、ということである。感受性が豊かであるという状態を作り出すには、そこへの思考プロセスの開発、最適化を行っていくことで可能、というか、それを行ったから感受性が豊かになったのではないかと思うのだ。

その感受性が育まれる環境としては、例えば親が癇癪持ちで、よく怒鳴られる環境で育った子供というのが考えられる。子供は、できるだけ親に怒られないように、親の気持ちや考えを察するために無意識のうちに訓練をする。親の表情、声の抑揚、行動パターン、様々な事象を観察して判断材料を増やしていき、今は話しかけないでおこうとか、機嫌を取るためにお手伝いしてみようとかを考え、実際に試して結果を検証する。その試行錯誤を繰り返すことで親と自分の間の人間関係の問題を解決する過程で、人の心理についての個人研究が進み、人から、その場の空気から繊細な情報を読み取る能力が養われ、結果として表面に現れる”感受性の豊かな人間”が作られていくのではないかと思うのだ。

逆に、健全な家庭で育った子供ではこれらのことが起こりづらいと思うのだ。なぜならする理由がない、目的がないから。前者の子供の場合のように親との人間関係に問題がないからだ。必要に迫られる要素がない。

家庭内に限らず、成長すれば幼稚園に上がって親以外の同年代のとの人間関係の構築が始まるし、小学校、中学校と環境も変わっていく。変わっていく自分の周りの環境によって、自身の思考プロセスの開発と最適化を行っていく中で育まれていくものだと思う。

思うに、感受性が豊かである人というのは今までの人生の中でなんらかの内向的なネガティブな経験を多くしてきたタイプの人が多いんじゃないだろうか。親の癇癪もそうだが、同級生からのいじめなど、そういった周りからの脅威から身を守るための思考プロセスの開発、最適化を行ってきて、その結果の一つに感受性が豊かになるという結果が出力されるということではないだろうか。

「人間は子供の頃に人格が作られる」というのも、この思考プロセスの開発、最適化結果であると思われる。様々な経験と試行錯誤を経て、ある程度開発、最適化されると、それ以降人間は全く別の環境に放り込まれたり、うつ病などで極限まで追い詰められでもしない限りはそれを変えようとはしないからだ。

その思考で生きていけることが本人の中で確信を持てているなら、それ以上変わろうとはしない。変わる目的がないから、結果的に大人になってからその人格が変わっていくことはない、ということなのだと思う。逆説的に言えば、変わる目的があれば大人であっても変わっていくことは可能であるということだ。

別にHSPの特徴そのものを否定しているわけではない

先天的にせよ後天的にせよ、HSPという特徴そのものは、おそらく存在すると思われる。前者と後者の違いは、変えられないものか、変えられるものかであるということ。むしろHSPという特徴は大いにプラスの方向へ活かしていくことが、その人の役割だと思う。

ある思考プロセスが他のものに比べてより最適化、開発されているということは、それがその人の他者がもっていない個性であると考えることもできる。それを他者にとって何らかの有益な事柄に充てることができれば、それがその人の社会貢献上の役割だと思うのだ。

「与えられる」ことを期待するのではなく、自らが誰かに「与えること」をすること

自分はHSPである、と思うことで危険だと思うことは、それによって自身が成長した方がいい事、変わった方がおそらく自身にとって幸福であると思われる事柄から目を背けて、だから自分は変わらなくていいという免罪符にしてしまうケースがあるということ。

例えば、あるうつ病の人が自分をHSPだと認識して、「私はHSPで感受性豊かだから、それでうつ病になってしまったのは仕方のない事なんだ、周りはそんな自分のことを理解すべきで、受け入れるべきなんだ」、という風に考えてしまうと、他者にそう理解してもらうことを強いるということになる。こちらは他者に対して何も与えないが、他者から与えられることを期待するという、歪んだ人間関係を構築しようとしてしまいがちである

他者は自分の都合で生きているわけではない。みな他者自身の都合で生きている。自分の都合を他者に押し付けるのは、他者の人生を奪う行為でもある。自分の都合のいいように他者を操ろうとしても他者を疲弊させてしまうし、本人としてもうつ病を根幹的に直すことができないままになる。

与えられることを期待するのではなく、今の自分が何をするのか。何を与えるのかを考えて行動する。それが他者にとっても自分にとっても幸福なことであるということを認識することを強くおすすめする。自身の不幸は自分の問題であって、他者は関係がないのだ。それを学ぶのにアドラー心理学は非常に有用な学問なので、是非おすすめしたい。

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