哲学:経済社会とは男性的社会である





以前、男女の考え方の違いというステレオタイプ的な記事を拝見しまして、その中に興味深い一文がありました。

それは「男性は問題解決、女性は共感」です。

男性はある問題を発見した時、それを解決するために行動することに対して女性はその問題を他の人にも共感してもらうために行動するというものです。例えば仕事で作成した資料が不備などで上司から差し戻され、修正の依頼を受けたとします。男性なら資料を修正するという問題解決に動く事に対し、上司から女性は差し戻された内容やその上司の態度など、不満を他の女性と共有して共感するという行動をする、みたいなことだと思います。

もちろんこれは悪魔でステレオタイプ的な話であり、性別によって個人のパーソナリティを決定できるものではないですし、女性の社会進出が目覚ましい昨今ではこの話は現実と乖離があるとは思うのですが、ステレオタイプというのは多分一種の統計論だと思うので、傾向としてあるのかなぁと思うんですね。

で、この男女の特徴を社会という大きな枠組みで考えると、現代社会は男性的な社会である、と私は感じるのです。

経済って?

経済:wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B5%8C%E6%B8%88

現代社会は経済社会ですよね。私は経済の専門家でもなんでもないので、詳しい事は説明できないのですが、私の認識している経済社会というのは需要と供給という概念に乗っ取って様々な生産と消費活動が行われている社会のことだと思っています。例えば衣食住を整えたいという需要に対し、住居を建てる仕事、食物を育てる仕事、衣服を生産する仕事が供給者ということになります。このほかにも様々な需要と共有によって成り立っているのが今の社会。

で、この需要と供給の関係は「問題解決」のサイクルと全く同じなんですよね。衣食住を整えたいという需要は逆に言えば衣食住の面で不足していると感じる部分があって、それを解決したいという目的があるわけです。この問題を解決したいという目的が問題解決の最初の問題提起にあたります。次にそれを解決するための手段を考えるわけですが、自分で家を建てるにも食物を生産するにもあまりにも時間も場所も足らな過ぎて、一般的な生活水準レベルの物を手に入れるためには非常に手間がかかってしまいます。そこで、それを解決してくれるのが各分野の専門の人達、大工、農家、服屋などを営む人達に協力してもらうことです。もちろん見返り無でやってもらえるわけはないので、今の世の中では貨幣を払うという形で自分がやっている仕事で与えた付加価値を交換することで行っています。こうして衣食住の不足という問題が解決されるわけですよね。

普段意識していなくても人々はあらゆるサービスの恩恵を受けています。整備された道路、交通、公共施設などお金を払わなくても利用できるような、当たり前に存在していると思っているものにさえ、こういった生産活動が背景にあってそれが存在しているわけです。今の暮らしは、この経済社会と切っても切れない関係にあるといえるでしょう。

男性的価値観で動いている社会

このような現在の社会の姿と、前述の男女の考え方の違いについて考えてみると、問題を解決するのが男性的な思考であるというステレオタイプ的価値観にのっとって考えた場合、今の社会が非常に男性的であるといえるのではないか、というのが私の見解です。最近の女性の社会進出は男性的な考え方をもつ女性が増えてきている、あるいは受け入れられてきている、女性も男性的な価値観を身に着けてきていると考えることもできるかもしれません。私自身別の会社の役職をもっている女性の方と仕事をしたことがあったのですが、非情に合理的な価値観の元に仕事をする、一般的な男性よりも決定力のある方でした。

別の見方をすると女性が社会的な差別を受けるパターンの一つの要因であるとも考えられますよね。男性的な社会において女性的な価値観は非生産的で、意味がないと捉えられるのは想像に難くはないと思います。生産活動することが仕事の目的なのに、共感を求めたところで何も生み出されませんからそんな社会からしてみればやっかみを受けても不思議ではない。しかし会社によっていろいろと都合があるもので一枚岩ではないですから一概には言えないですが、例えば一部の部署で非常に女性的な価値観の支配があったり、「女は会社に必要ない」なんていう昔気質な会社があったりもするんでしょう。今時そんなことを公の場でいったら社会的に袋叩きでしょうけど、まだそれほど世代の入れ替わりが起きているわけではないので、そういう実情を表に出さず内包している会社はまだまだ普通に存在しているのだろうなと思います。

多分今の社会に求められている人間性というのは実際の性別がどうのこうのではなく、ここで説明している「男性的な価値観と考え方をもっていること」なんでしょうね。実際男性でも女性的な価値観をもっている人はいますし、両方を内在している人の方が世の中たくさんいるでしょう。結局は人によるというところに帰結するんですが、人は他人にそれほど関心もないし、私のような趣味でやっている人間を除いて、そこにコストをかけて考え込むような人もそうそういないので、ステレオタイプ的な判断をした方が楽なのでしょう。そういうところの需要を満たすのがカウンセラーの仕事なのかもしれません。

逆に男尊女卑の考え方が強い、古い体質の会社の方が、その体質や価値観の本質に女性的な価値観が内包されているということもあるんじゃないかとも思います。古い体質の会社って非生産的な無駄な仕事が好きですし、あれって会社に貢献したいというよりは”自分は仕事をしているんだ”と自己陶酔したいだけだったり、要は一種の馴れ合いなんですよね。なんら生産性のないやる意味のない会議とか、その会社の幹部たちが馴れ合いのためにやっているという実態がほとんどだったりしますし。その会社内という内輪のスコープで見れば「頑張っている」でも、より大きな社会全体というスコープで見れば「無駄なことしてる会社」なんてことは結構あるんじゃないでしょうか。馴れ合いも一種の共感を求める行動と同じなんです。そういう会社は既存の証明された価値にすがって新しいものを生み出しにくいですし、より生産的でチャレンジ精神のある他会社との競争に負けて淘汰されていってしまうんでしょうけどね。

少なくともこれからもこの社会の根本的な経済社会というデザインが崩れることは早々ないでしょうし、むしろどんどん昇華して”男性化”していっているように思います。特に東京なんかはそうですし。今よりもずっとより合理的な価値観をもった人たちが世の中を担っていく社会になっていくのかも。独り身の人が増えるのも自然のことだと思います。男性的な思考は一人を好みますからね。こう聞くと冷たい人間が増える、なんて思うかもしれませんが、日本人というのは昔からみんなと仲良くしようとしすぎていて、それが非効率で非合理的なことに気づいていないんですよ。普通だと思っていますから。この”普通”っていうのがすごく厄介なんですが、これは別の記事にでも書きましょう。価値観の相容れない人とは良い関係を気づくのは難しいし、非効率です。付き合う意味のない人と付き合わなくてよくなりますし、距離の置き方もわかるようになります。精神的に楽になって今よりもハッピーな社会になるのかもしれません。今の子供たちの世代が一体どのように育っていくのか楽しみですね。

と少し前向きに締めてはみたものの、少し心配なこともあります。日本人は世代を超えるごとにどうも精神が幼稚化しているような気がします。自分で考える力を学ぶ機会が得られにくく、親や学校の言うことに素直に従うか、ただ反発するだけの人間が育つので、心は子供のまま、体だけが大人になって社会に出てから苦労するというパターン。そこから大人になることを学ぶことができればいいんですが、カエルの子はカエルといいますか環境的な限界があって、自分が大人でないことに気づかなかったり、そもそも変わる必要があると感じる機会すらない。それ以上視野を広げられないんです。せっかくインターネットというこんなに便利な情報収集ツールがあり、様々な情報があふれている現代社会ですら、人々が実際に学ぶことができることはたかが知れているというのはなんとも皮肉的です。今や国を超えて情報交換できてしまう時代。中国のような検問システムがあるわけでもなく、日本語にこだわらず英語や他の外国の言語を学べばさらなる発見も期待できる世の中であるにも関わらずです。

自ら学ぶ姿勢や、学ぶものを選択するための哲学を養わないと、根本的な人としての成長はできないと私は思っています。人間は群れれば群れるほど、自分自身について考えることがなくなり、個人の精神はどんどん幼くなっていくのでしょう。ことさら日本という国においては周りと同じことをすることが”普通”のことであるというように育ちますし。そのような環境下で育った人々にどうやったら学ぶことの大切に気付いてもらえるのか。大人とは何なのか。それを伝えるにはどうすればいいのかが今後の課題になっていくのかもしれません。

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