“哲学”は既に死んでる





いつ死んだのかというと、それは恐らく古代ギリシアの時代にさかのぼるでしょう。

年代で言えば紀元前500年くらいでしょうか。

死んだ正確な時期は恐らく、哲学という言葉を最初に考えたピタゴラス、あるいは哲学の祖と言われたソクラテス、それを文献に残したプラトン、同じく弟子のアリストテレス。

彼らの誰かが死んだ瞬間でしょう。いえ、やはり最初のピタゴラスが死んだ時点か。

この時点で、既に”オリジナルの哲学”そのものは死に絶えているわけです。

人は”思想そのもの”を一切継承できない

人が残せるのは言葉や文章だけです。そしてそれらは単なる記号にすぎません。

言葉の意味や定義、思想についてまで人は実は一切共有できておらず、

言葉や文章を認識して、それを自身の脳に落とし込むために行われる「解釈」という行動は

全て人個人の頭の中でしかおきておらず、それを人は直接外に出力するようなことはできていません。

つまり解釈の結果を人は一切共有できていないわけです。それをいくら言葉に残したところで、

それを解釈する人の中でまた別の解釈結果が個人の脳内だけに出力されるだけであり、

ゆえに人は同じ思想を人はもつことができない、できているかどうかを確かめられないわけです。

人は孤独である – 人は真に理解しあえない –

思想などの五感で直接感じられないものというのは、全て個人の頭の中にしかないのです。

個人の死亡とは、すなわち個人という思想の宇宙の終焉。

それとともに一緒にその思想も全て無へと帰すわけで、

すでにそれを考えた人間が死んでいるわけですから、オリジナルの哲学という存在はこの世のどこにも残っていません。



哲学は個人の中にしかない

かつて最初に考えられた哲学が、その当人にとってどのような思考、考え方を指していたのかも、

オリジナルを作ったソクラテスたちの頭の中にしかない以上、

現在の人々が知っていると思っている哲学という概念ですら、彼らのそれではないかもしれません。

そういう意味では、既に哲学というものは死んでしまっている。

言葉は単なる記号です。そこに意味までが外的に定義されているわけではなく、自分がそうだと思っているだけ、一種の思い込みです。

言葉というのは、思い込みによって運用されているともいえます。皆そこに何らかの意味があると確信していて、解釈をしようとしているだけにすぎない。

現代の自分達は哲学という言葉や、哲学的思考とはどんなものなのかについて解説された言葉、文章からそれを好き勝手に解釈し、

その解釈したものに”哲学”という名前をつけているにすぎないわけです。

ひょっとすると、ソクラテスが一切の著作を残さなかったのは、このようなことが背景にあったのかもしれません。

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