とあるwebサイトで面白い漫画を見つけた。
【漫画】もし「承認欲求を満たす薬」が開発されたら? 漫画家志望の女の子が“心をドーピング”するSFが心に来るhttps://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/2012/09/news026.html
なかなかもの悲しいお話の内容で、大変興味深く読ませていただいた。
そしてふと思った。満たすのではなく、この世にもし承認欲求を”解消”する薬があったら、それはどんなものになるんだろうか、と。
もちろん、この世にそんな薬はない。承認欲求は思い込みであるから、薬でどうにかできるようなものではない。自分の意志で捨てて解消するものだから。
いやいやでも、そんな無理なことは百も承知だが、いろいろ考えてみるのもなかなか面白いのではないか?
そんなわけでこの記事ではもし承認欲求を解消できる薬があるとしたら、それはどんなもので、どんな仕組みで作用して、どんな効能をもたらすものであることが望ましいかそれを考えてみようと思う。
目次
まずは承認欲求の概略から。
承認欲求は恐怖からきているもの。他人に対する恐怖を基底とした、義務感、重圧感、罪の意識といったものから生まれてくる欲求。
他人から与えられた課題を超えれば、自分の人生は保証されるという思い込み、先のことを他人は保証できるという思い込みからくる、他人に自分を保証してもらいたい、自分を素晴らしい人間だと保証してもらいたいという思い込みからくる、
他人に認められて他人という不安材料を取り除いて安心したい、という欲求だ。
となると、その薬の仕様は?
それは例えば、他人に対する恐怖を全てスポイルすことができる薬、他人が先のことをすべて知っているみたいな全知全能神のような存在であるという思い込みをスポイルできる薬というような、
「他人軸の思考を捨てる薬」「承認欲求を根本的要因から解消できる薬」という仕様のものになる
となるとそこから考えられるのは
・他人に対する恐怖の思い込みをすべて消してくれる薬
・他人はなんでも知っている神のような存在であるという思い込みをすべて消してくれる薬
・恐怖という感情そのものを消す薬
というものが考えられる。それをさらに汎用的な薬として開発したとすると、
・自分の思考の部分に対して記憶を操作、消去する薬
・恐怖という感情自体を消す、もしくは抑制する薬
の二つということになる。
ふむ、さてこの二つ、作ることができるんだろうか?
実は存在してたりして?
そもそも人の思考、考えていること自体を操作する薬は実はすでに存在していたりはしないか?
「人の思考を操作 薬」とかでググってみたところ、統合失調症の情報サイトがたくさんでてきてしまった。私のやり方では見つかられなかった
まぁ多分ないと思う。そりゃそうか。
じゃぁ恐怖という感情を抑制、もしくは消す薬はあるんだろうか?
…ん?まてよ?
これって『向精神薬』のことなんじゃ?
だって気分を高揚させるわけで、それは恐怖を感じなくするってことだから。
となると、向精神薬は承認欲求を根本から「抑制」しうるってことなのかしら?
いや、筆者の私は1年半飲んだ経験があるけれど、ほとんどよくならなかったんだけど…ずっと他人の目が怖かったのは変わらなかったし。環境がひどすぎたのか。
単に抑制する力が他人に対する恐怖に対して弱すぎた、ということなのかもしれない。パキシルっていう長期間かけて徐々に効いてくるタイプの薬というやつで、即効性があるものでもないので、それではほとんど効果がなかっただけだったのかな?
となるとより多くの人に効く、すぐ効果が表れる薬、即効性のある強力なやつってことになる。
そんな薬っていったらそりゃ…
もうやめておこう。
どんな作用の薬になる?
後者の薬はまぁ…もうあるとして(もうあまり触れたくない)、前者の「自分の思考の部分に対して記憶を操作、消去する薬」の作用について考えてみる。
人の思考って?
人の思考に作用を及ぼすのだから、人の思考のメカニズムをまずは知る必要がある。
それについて調べてみたところ、人の思考とは大脳新皮質という脳の両球の表面にある皺の層の部分がつかさどっているとか。
人の合理的思考、分析能力、言語能力などはこの部分がつかさどっており、この部分に異常がでると認知機能などに支障をきたす。アルツハイマー病などはこの部分に班がつくという特徴がみられるとのこと。
思考をつかさどる部分はその中の前頭前皮質という人の眼球の近くの部分だとみなされている。(つまり本当にそうかはまだ未解明)
それを証明する過去の事象として、フィネアス・ゲージという人の例で、前頭前皮質を大きく損傷したことで性格が大きく変わったということが観測されたとのここと。ただのちに、それは誇張的な先入観に基づいたものであるということがわかっており、これが決定的な要因であったという見方はなくなっているらしい。
とはいえ、ここが人間の報酬系や認知領域にかかわる機能を持っているであろうことは信用があるようで、現在前頭前皮質の機能を向上させる薬品の開発が行われいているという。
ふむ。なんだかもうすでにそれっぽい薬が作成されている様子。そりゃそうだ、その専門家の人達が取り組んでいるわけだし。
ただやっぱり、向精神薬のようなものみたいだ。まぁそうだよね。都合よく消したい部分だけを消すことができる薬なんて、それこそナノマシンみたいなものでないと…あぁナノマシンならできるのかもしれない。何処のシナプスに何の記憶が保存されているのか、ということくらいなら、今後の科学の発展で分かったりしそうな気がする。それを特定して消去するナノマシンみたいなものが開発されればあるいは…でも今回考えているのは薬だからまぁ…
やはりなんらかの薬品成分を脳に与えるだけでは、人の思い込みを直接変えるなんてことは難しいことのようである…
やっぱりというか、もういっそのこと人間の頭を機械にしちゃったらいいんじゃないか?そしたら「削除ボタン」一つで消せそうだ。全部肉体とハードウェアと入れ替えて、”中身”を移して、ほらサイバーパンクみたいな感じで…
なんちゃってね。でも薬作るよりもそっちの方が早そうな気すらするな…
ん、まてよ?
結局こうやって何か自分で考えて何かやっていることが…
一番気分がよいことなんではないだろうか?承認欲求を求めて苦しむよりも。悶々としながら時間を過ごすよりも。
何か自分の知らないこととか、やったことのないことをやってみたりとか、自由に何かを考えてみたりとか、とにかく頭と手を動かして何かしていたほうが、行動しているほうがよっぽどその解消に役立ってはいないか?
こうして私はこの記事を書く間に色々調べ物をしながら考えを巡らせていたのだけれど、それで十分楽しかったよ。
知らないこともたくさん知れたし、発見もたくさんあった。別に自分の人生に役に立つわけでもないけれど、別にそれでいい。
それが大したことでなくてもなんでも。誰かにとって無意味でも、それが何であろうが、自分がそれを楽しもうとしたら、もうそれは楽しいことには変わりない。
そういう時間を過ごせるってことが結局のところ幸せなんではないか。
薬による解決もあるのかもしれないけど、それはやっぱり「抑制」で、根幹的な「解消」にはならないだろう。
でも結局、自分で行動して自分でやってみるだけで大半の悩みは自分の思考から飛んでしまうわけなんだから、悩みなんてほんとたいしたことなんかじゃないんだよね。そんなことだけで消えるようなもんなんだから。
承認欲求を解消するための最も手軽で最も根幹的な方法なんて、こんな”たいしたことない自分”を認めて、素直に目の前のことを楽しんだ方が、よっぽど“良薬”なんじゃないかな?
コメントを残す